幼少の頃、あるレストランを訪れた時、
しなやかな立ち居振る舞いで客席を回るシェフの姿を見て

『いつの日か、
僕も自分の店に来た人たちを幸せにするんだ』

そんな風に夢を思い描いた少年 森住。


その想いを果たすべく、持ち前の器用さを活かし、
料理の世界に飛びこんだものの、一向に芽が出ず、
９年間という月日が刻々と流れていきました。

『このままではいけない…』

そう思った森住氏は、幼き日に思い描いた
『自分の店を持ちたい』という夢を実現するために、
フレンチの技法を用いたラーメン屋をオープンすることを決意。

しかし、最初こそ、もの珍しさからファンもついたのですが、
立地の悪さからか、客足は伸びることなく、閑古鳥の鳴く状態が
何ヶ月と続いてしまったそうです。

もっとちゃんした場所なら…、と
目の前の現実を受け入れきれず、
来る日も来る日も一生懸命しこんだスープを無駄に捨てる毎日の中で、
森住さんの心は疲れ果てていきました。

『もう限界だ…』

今度こそ、自分の憧れていた世界から
本当に幕を引こうとしていたそうです。

そんなある日、
失意の中、ただなんということなく見ていたテレビで、
東京ディズニーランドの特集をしていた番組が流れていました。

ミッキーマウスとその仲間たちのいる"世界"を訪れる人々は皆、
子供の頃の笑顔に戻って無邪気に笑っている。
来る人来る人みんなに、夢と希望を与えている。
まさに、喜びと感動に満ちた世界。

その光景を見た時に、
自分が少年の頃に抱いたあのワクワクした感情を思い出し、
森住さんは思わず泣き崩れたそうです。


『自分が受けた感動を人に届けるために、
料理人の道を選んだはずなのに…。
いや、まだできることがあるはずだ！』

この瞬間から森住さんは再出発を決意。
一切の妥協を捨て、
一切の言い訳を辞め、
できないことを嘆くのではなく、
ただひたすら料理人として何ができるのかを追求しはじめました。

そして舞い込んできたテレビ出演のチャンス。
森住の確かな腕と独創性が認められ、有名番組で見事優勝。

ここから、一気に現在の栄光まで駆け上がっていったのです。


そんな森住氏があるテレビ番組で残したコメントを、
最後に紹介させていただきます。

「どんなに頑張ってもうまくいかない時がある。
どんなに信じても、叶わぬ想いがある。
しかし、『全てが終わった…』と諦めたその時にこそ、
あなたの本当のチャレンジが始まるのかもしれません」