梅原さんは父親から、
「何かみつけて徹底的にやれよ！」
と言われて育ちました。

しかし、
体も大きく、足は速かったがスポーツに興味はない。
勉強もやればできるが、好きにはならない。

そんな中、
梅原さんは自分の直感に従い、
当時から好きだったゲームにどんどんのめりこんでいきました。

しかし、
『本当にこの道でいいのだろうか…』
『この道を突き進んだ先にはなにが待っているのだろう…』

と、常に不安に苛まれ、
自分に自信が持てずにいたそうです。


しかも、
学校の先生や世間の大人は、

「ゲームばっかりやっていないで、
勉強するべきだ。スポーツに打ち込むべきだ」

とこぞって梅原さんを諭そうとするばかり。
後押しする言葉などもらえなかったのです。

周りの友達も、
小学校の頃でこそ、一緒にゲームをしていたけれど、
中学校に入ると、
一人、またひとりと離れていき、
気がつくと、梅原さんは独りになっていたのです。

普通であれば、
周囲の大人からの言葉に、
ゲームを辞め、
周りの友達と同じ道を進むことを選んでしまいそうなもの。

しかし、梅原さんは違いました。

「俺は部活もしなければ、勉強もしない。
代わりにゲームをしている。
それならば、他の人間が部活や勉強に注いでいるのと同じくらい、
いいや、それ以上のやる気と情熱をもってゲームに向き合おう。
1分もムダにせず、とことんゲームを追求してやるぞ」

そう、心に誓ったといいます。

ゲームに突き進むことへの不安が
完全に拭いきれたとはいえないでしょう。

むしろ、その不安をかき消すために、
ゲームに没頭したのかもしれません。

梅原さんは、
年末年始を除いて1年間363日、ゲームセンターに通い、
とにかく、ゲームを極めることに
自分のすべてを懸けて臨んだのです。


どこまでもゲームに没頭したからこそ、
生み出された輝き。

1997年、梅原さんは中学生にして日本一に、
そして、翌年1998年、
17歳にして世界一の座まで登りつめたのです。