4つの農業法人を経営し、
自らを“ベンチャー百姓”と呼ぶ、
澤浦彰治さん。
我が国の新しい農業のあり方をリードする
就農者のひとりです。
昨年、テレビ番組「ガイアの夜明け」で取り上げられたので、
ご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
20代半ばから
20年以上独自の農業経営に取り組み、
今やグループ年商は20億円に及んでいます。
今回は情熱溢れるベンチャー百姓・澤浦彰治さんから
営業マンに通じるセールスマインドを学んでいきたいと思います。
澤浦さんが農業を行う群馬県は
コンニャク芋の一大生産地。
その中で、澤浦さんがこだわっていることが
2つあります。
1つは、有機農業でコンニャク芋を育てること。
もう1つは、
収穫したコンニャク芋を
消費者のニーズに合わせて
自社工場で加工することです。
ほんの少しでも虫が食べた野菜には
価格がつかないため、
以前は、大量に農薬を使用することを余儀なくされていました。
そんな農業に
大きな疑問を感じていたところに、
市場の変化によって作物の価格が大暴落。
25歳にして
借金を抱えてしまった澤浦さんは、
苦悩の末、コンニャクを自ら加工して、
消費者の求める安全な商品を販売することで、
市場に振り回されない経営を目指したのです。
それ以来、有機農業を貫き、
ひとり暮らし用の小さなコンニャク、結びシラタキなど、
様々なアイデアで180ものコンニャク製品を生み出し、
安全で美味しい食品を求める消費者に
支持されるようになりました。
澤浦さんのモットーは
“感動農業”。
作物や土の様子、
そして時代や消費者のニーズを
繊細に“感じ”、
やるべきことを判断したら、
素早く“動く”。
澤浦さんは、
そんな“感動力”によって
日々の農作業だけではなく、
各地に講演に出かけ、若い人材を育てています。
そんな“感動力”が発揮されたのが、
TPP参加問題をきっかけに思いついたという、
EU諸国へのコンニャクの売り込みです。
澤浦さんは
EU諸国でヘルシーブームが巻き起こっていることに目をつけ、
なんと、コンニャクなど食べたことのないヨーロッパの人々に
コンニャクを売り込み、
イタリアの企業から視察を受けます。
そこでシラタキパスタをはじめとする
コンニャク尽くし弁当を披露して、
見事、契約を勝ち取ったのです。
今、澤浦さんのコンニャクは
イタリア・ドイツ・ポルトガル、と
EU諸国で市場を獲得しつつあります。
“感動力”によって
コンニャクは日本の農業の未来を広げたのです。
繊細に“感じ”、
素早く“動く”、
“感動力”。
一見、相反する力のようですが、
どちらか片方では
何かを達成することはできません。
時代や顧客のニーズを
“感じ”とったら、
素早く“動く”。
“感じる”と“動く”を
素早く連動させることが、
大きなチャンスを掴むことにつながるのかもしれません。