鈴木さんはある理由から、
日本のトップスケーターの中では
異例の成功者と言われています。

多くの選手が海外に住み、
シーズンごとに様々なコーチの指導を仰いでいるのに対して、
鈴木さんは、一貫して日本を拠点とし、
10年にわたってずっと
長久保コーチの指導を受けているからです。

長久保コーチは、
荒川静香さんの仙台時代の恩師であり、
世界屈指のジャンプの指導者。

鈴木さんが摂食障害から復帰した直後の1年間は
ひとり暮らしの鈴木さんを心配して、
朝夕ご飯を食べるのを見届け、

ミスの連鎖に苦しんでいた時には
ミスが続くたびに曲を止めて
精神面について語り合い、
ミスをしても切り替える精神力を身につけさせました。

今回の全日本選手権、
フリーで完璧な演技を終えた鈴木さんは、
長久保コーチに「教えてきて初めて泣けたよ」と声をかけられ、
うれし涙を浮かべていました。

鈴木さんはいつも、
長久保コーチをはじめ、
様々な人への『感謝の言葉』を口にします。

しかし鈴木さんは
長久保コーチにただ支えられていたのではありません。

鈴木さんはプログラム練習をする時はいつもiPadで録画し、
自分がコーチになったつもりで自分のミスをすべてチェックし、
「自分がコーチだったらどんなアドバイスをするだろう」と
考えるそうです。

そうやって自分を客観視する時、
長久保コーチという大きな存在が
手本になっているのではないでしょうか。

フィギュアスケートは採点基準が細かくわかりにくいといわれますが、
鈴木さんの、スケート技術を見抜く目には定評があり、
他選手の批評も的確なことで知られています。

尊敬するコーチに師事しながら、
“自分で自分のコーチになる”意識を持ち、
努力を重ねてきた鈴木さん。

その姿はきっと
ソチの舞台でも大きく輝くことでしょう。