佐藤さんに、
大手企業から次々に仕事が来る理由。

それは、
企業の本質を消費者に伝える佐藤さんのデザインが
次から次へと
大きなプロジェクトの成功に繋がっているからです。

佐藤さんは、
依頼を受けてもなかなか
デザインの制作には取り掛かりません。

まず行うのは、
クライアントとの綿密なコミュニケーション。

クライアントの課題やニーズを掘り下げ、
プロジェクトの狙いを明確に掴むのです。

その上で、
対象となる企業や商品の分析に入り、
その価値を引き出し、

そうして初めて、
デザインを考えるのです。

クライアントの課題を解決し、
ニーズに応えるデザイナー。

佐藤さんは
そんな自分の仕事を
“企業の医者”と評しています。

そんな、
今までのデザイナーにはない仕事ぶりで、
成功を掴んだ佐藤さん。

しかし、
それは様々なことを“やりきった”その先に、
ようやく掴んだ自分の道でした。

小さい頃から絵を描くのが得意だった佐藤さんは、
高校卒業後は美術大学に入学します。

しかし、
美術やデザインよりもバンド活動にのめりこみ、
食事も忘れてギターの練習や作曲にふけりました。

しかし、のめりこんで、
“やりきった”と思った時、
「自分にとって音楽は、憧れであって好きなものではない。
自分に向いているのはやはり絵だ」と悟ったのです。

さらに、音楽をやる中で一番楽しかったのは
作曲だったと気づいて、
「何かを創る」という方向性を掴みました。

そして大学卒業後は
博報堂に入社。

クライアントの依頼に応えるというより、
自分の作品を創りあげる芸術家のような熱心さで、
デザインの制作にのめりこみます。

そんな佐藤さんに転機が訪れたのは、
入社5年目、
ホンダのステップワゴンCMを担当した時のこと。

あまりに大掛かりなプロジェクトに、
ひとりで“やりきる”仕事の限界を悟った佐藤さんは、
クールダウンして、
クライアントのニーズに焦点を向けるようになります。

そして、
それまでのミニバンのイメージを一新するCMを創りあげ、
ステップワゴンは大ヒット。
佐藤さん自身も念願だった広告賞を受賞したのです。

熱くのめりこんで、
“やりきった”経験を積んできたからこそ、
「デザイナー」としての自分を発見し、
「クライアントのニーズに応えるスタイル」を発見した佐藤さん。

様々なことを“やりきった”からこそ、
独自の道を歩むことができているのです。