高校1年生でワールドカップ初出場を果たし、
その爽やかな笑顔で
たちまちメディアの注目を集めた上村愛子さん。

地元・長野で開催されたオリンピックには
高校3年生で初出場し、
金メダルを獲得した里谷選手と共に
モーグルという競技の普及に大きく貢献しました。

その後、メダルの獲れる選手として
常に期待される存在となり、

2008年には
日本女子スキー界で初となる種目別年間優勝を達成。
念願のクリスタルトロフィーと、世界No.1の称号を手にし、
名実ともに冬の女王となりました。

しかしオリンピックでは、
4大会連続出場を果たしながらも、
メダルを獲得できず……。

そして今回、「これで最後」と決意して臨んだ
ソチ五輪の決勝・最終滑走で、
なんと本大会自己ベストのタイムを記録。

全力でミスのない、
「上村愛子らしい」モーグルを
滑りきったのです。

順位は惜しくもわずか0.83ポイント差で
前回と同じ4位に終わりましたが、
タイムはなんと決勝でも1位。

5大会連続出場、
18年に及ぶモーグル人生の集大成にふさわしい
渾身の滑りに、日本中から「お疲れ様」の拍手が贈られました。

様々な苦難を乗り越え、
長きにわたりモーグルへの情熱を持ち続けた上村さん。

その道のりは、
1つひとつ“課題”を発見してはクリアしていく、
その繰り返しだったようです。

例えば、性格的に自己主張が強くなく、
人に合わせてしまいがちな上村さんにとって、
自分の意見を言えないことも課題の１つでした。

しかし、それを“課題”として発見してからは、
少しずつ外国人コーチと
ディスカッションすることができるようになり、
それによって
自力では超えられなかった壁を超えることができたのです。

上村さんがすごいのは、
そんな過程をいつも“楽しんで”いたところ。

課題を欠点や不足として捉えるのではなく、
課題に出会うたびに
「まだ何かできることがある」と前向きに捉えてきました。

そして、
課題をクリアして、成長した自分に出会うことを、
“楽しんで”きたのです。

課題の発見は、
もっと成長した自分に出会えるチャンス。

そう受けとめて、
“楽しみ”ながら、
1つひとつ“課題”をクリアしてきた上村さんだからこそ、

最後の最後に全力を出しきり、
「すごい清々しい気持ち」を
味わうことができたのではないでしょうか。