日本屈指の実業家の家系に育った国谷さんは、
帰国子女にして英語が堪能。

しかし若い頃は、
「何をやりたいのかわからない」と思い悩む、
普通の女性のひとりでした。

化粧品メーカーに勤めるも、1年で退職。
定まった目標を見つけることもできず、
あてもなく3か月ほど海外をひとり旅したこともあったそうです。

そんな国谷さんが
報道の世界に入ることになったのは、
知人の紹介で、NHKニュースの
英語放送を担当したことがきっかけでした。

そして結婚を機にニューヨークに在住していた頃、
キャスターとして初めてのチャンスが訪れます。

NHKのニュース番組で、現地の情報を伝える、
わずか4～5分ほどの出演でした。

ところが、半年後に降板を言い渡されます。
国谷さんは、
自分の力不足と、ごまかしの効かないテレビの怖さを
思い知りました。

しかし、
NHK・BS放送のキャスターとして
再度オファーされた時、
「今こそ自分を鍛える時期だ」と感じ、
再チャレンジを決意したのです。

それはちょうど、
ベルリンの壁が崩れ、湾岸戦争が勃発する、
世界的激動のさなかのこと。

睡眠時間3、4時間で資料を読み込み、
経験不足を物ともせず、
果敢に海外ゲストへの中継インタビューなどに挑戦していきました。

「クローズアップ現代」キャスターに抜擢されたのは、
そんな仕事ぶりが認められてのことだったのです。

国谷さんは、「クローズアップ現代」20周年のHPで、
番組の準備について次のように語っています。

「できるだけ資料を読み込むこと。
さらにはそのテーマについて、
さまざまな立場からの意見を聞いて、
多角的に掘り下げた視点を持つこと」。

「クローズアップ現代」のテーマは、
若者の問題から政治・経済まで、
実に多岐にわたっています。

国谷さんは、そんなテーマの一つひとつに
そこまでの準備をし、
週4回、生放送のカメラの前に立っているのです。

そんな緊張感に満ちた日々を保つコツは、
国谷さんの朝の過ごし方にあるようです。

どんなに不安な時でも、
決して朝のリズムを壊さず、
習慣どおりに行動して、
「今日もきちんと同じことができたから大丈夫だ」と、
『心のペースを調整する』のだそうです。

できる限りの準備をし、
朝の習慣で自分自身をコントロールする。

長年の仕事の陰には、
そんな積み重ねが隠されているのです。